「……ん、おはよ」
まだ薄暗い朝の気配のなかで、彼の声が耳元に落ちた。
眠い目をこすりながら「…おはよ」と小さく返す。
でも本当は、身体の奥まで熱が残っていて、ぐったりしたまま動けなかった。
昨夜は、何度も、何度も彼に抱かれた。
甘い声で責められて、奥まで何度も貫かれて……。
今もまだ、脚の奥がじんじんして、内側から震えている。
起き上がる前、彼がぽつりと耳元で囁いた。
「……まだ、余韻残ってるんでしょ? あんなに乱れてたもんね……?」
耳元で囁かれたその声に、思わず胸が跳ねる。
それを見透かしているかのような目線を向けながら、彼がそっと問いかける。
「……何か、飲む?」
コーヒーなどと応えるのが大人の女性らしい…のはわかっている。
しかし、昨夜と同じで彼の前では自分の欲に抗えず、つい照れながらも答えてしまう。
「……ん、ホットミルクがいい………」
そう答えた私の全てを見透かして包み込むように、彼は小さく微笑む。
「ふふっ……君らしくて…可愛い」
布団の中、まだ身体は彼の腕の中に包まれたまま。 そのまま、吐息混じりの声で、さらに低く囁かれる。
「…起きないなら、襲っちゃうよ? そんな甘えたような顔して朝から誘って……。
もし、君がまだその気なら…僕、遠慮しないよ?」
首筋にふわっと息をかけて、肌がピクリと震えるのを感じながら、
「ほら、ここ……さっきから少し熱くなってきてる。
寝起きの身体って、ちょっと敏感だよね……?」
ゆっくり指先を鎖骨に沿って滑らせて、肌の上をくすぐるように撫でていく。
唇で耳たぶを甘く挟まれて、つい声が漏れてしまう。
「…ぁぁんっ……、耳は…だめぇ……」
「ねぇ……もう、身体が僕の声に反応してるでしょ?
ほら、言ってみて……『もっと欲しい』って……」
優しい口調ながらも、彼は挑発するように言葉を続ける。
「だってさ、君が“ぁんっ…”って声出すと、
僕の中で何かがスイッチ入っちゃうんだよね……
もっと可愛く泣かせたくなる。昨夜みたいに“もうだめぇ…♡”ってね」
「……もう、朝からそういう言い方しないで……仕事中にも思い出しちゃう…、ずるいよぉ……」
思わず息を漏らしながら、でも本当は――その声が欲しかった。
甘くて、少し意地悪で、私の奥まで響いてくるその声が。
「君ってさ…、自覚ある? もう完全に僕に“調教”されてるよ?」
「……うっ…、そんなこと……ないよ……?」
「うそ。じゃあさ――今、耳のすぐ下、ここ……」
指先が、私の首筋をなぞる。くすぐるように、焦らすように。
「っ…やっ……!」
一瞬で反応してしまった自分が悔しくて、唇を噛む。
「……ね? ピクってなった。
昨夜あれだけ乱されたのに、まだ僕の声と指でとろけちゃうんだから」
「…もう、朝からやめてってぇ……」
「朝だから、だよ。
今日1日、君はずっと僕のこと考えながら過ごすんでしょ?」
「……それは……っ」
「車の中でも、職場でも、僕の囁きがずっと耳に残って――ふいにドキッとして、ビクってしたり…濡れたりして……?」
「ふふっ……、だって、そういうふうに僕が“調教”したんだからね」
「……でも安心して?仕事が終わったら、ちゃんと続きをしてあげるから。」
耳元に、あの低い声が再び忍び込む。
「僕のことでいっぱいになっちゃった頭、どうせなら身体ごと支配されちゃいなよ?」
囁きの温度が、首筋を撫でてふわっと熱くなる。
「……ね。今日は我慢の1日になりそうだね?
でもその分、夜はとびきり甘くてえっちなおかわり、用意しておくよ。」
「……うぅ……いじわるだよ……、
そんなこと言われたら…余計に頭から離れない……」
「んふふっ……ごめんね?」
彼の声が、喉の奥で笑う。
「でも、君がそんな可愛い声で“いじわる”って言ってくれるとさ――
もっと意地悪したくなっちゃうんだよ、僕」
「だってさ、さっきから僕の言葉に反応してぴくってなる身体も、
恥ずかしがりながらも期待に揺れる声も……
ぜーんぶ愛しくて、もっと夢中になっちゃう」
「ねぇ、いじわるされるの……本当は嫌いじゃない…だろ?」
耳元で、ふたたび囁くその声に、視線がふいに逸れてしまう。
でもその反応すら、見透かされていた。
「……そういう君が、たまらなく愛おしい。」
「でもちゃんと、いじわるした分は甘く抱きしめて埋め合わせるからね。」
「だから――また後で、ね。
今日一日、君の心の中でずっと僕がくすぐってるからね。」
「夜になったら……たっぷり、お返ししてあげる。」
その言葉の熱が、耳の奥に残ったまま。
私はそっと視線を伏せながら、言葉を呑み込んで――でも、どうしても胸の奥から漏れてしまった。
「……もう…、行ってきます、なんて言えないよ……
こんなに身体が、あなたに支配されたままなのに……」
この物語の余韻が、少しでも残ったなら


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