密室セラピーⅥ ―後戻りできない、甘い自覚―

 

前のお話

 

​自ら触れた唇の熱に、ひよりは心臓が破裂しそうだった。

​(私……なんてことを……)

​静寂に包まれた密室。

聞こえるのは、自分の乱れた呼吸と、微かに漂うアロマオイルの香りだけ。

いつもなら心と体を解きほぐしてくれるはずのその香りが、

今はなぜか、ひどく甘く、危険なものに感じられる。

​彼──一ノ瀬慶は、少しだけ目を瞠った後、静かに沈黙していた。

空調の音さえもやけに大きく聞こえる。

怒られるかもしれない。困らせてしまったかもしれない。

怖くなって、ぎゅっとシーツを握りしめ視線を逸らそうとした、その時だった。

​「……ひよりさん」

​低く、少しだけ掠れた声。

いつもの、穏やかで安心感のある『セラピスト』の声じゃない。

それは、ひよりの奥深くまで響くような、大人の『男』の響きを帯びていた。

​ゆっくりと、彼の手がひよりの頬を包み込む。

マッサージの時の、緊張を解くような優しい手つきとは違う。

逃げ場を塞ぐような、熱を帯びた、どこか独占欲の滲む触れ方。

​「自分から境界線を越えてくるなんて……ずいぶん、悪い子ですね」

​彼の親指が、先ほど重なったばかりのひよりの唇を、ゆっくりとなぞる。

ぞくっ、と背筋に甘い痺れが走った。

至近距離で見つめてくる彼の瞳の奥に、

今まで見たことのないような暗くて熱い炎が揺れているのに気づき、ひよりは息を呑む。

​「言葉でって言ったのに……あんなふうにされたら、俺の理性がもつわけない」

​彼の手が、ゆっくりと首筋から肩へと滑り落ちる。

その指先が触れるたび、火傷しそうなほどの熱が伝わってきた。

​「……俺の理性を壊した責任、ちゃんと取ってね」

​それは、甘くて逃げ場のない、宣戦布告だった。

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ここには書けない生々しい『本当の温度』の続きは…

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