密室セラピーⅦ ―触れられない熱と、甘い降伏―

前のお話

(どうしよう……消えちゃう……っ)

鏡の前に立つひよりは、自分の首筋から胸元にかけて薄く残る赤い痕を、祈るような気持ちでなぞった。

あの日、彼につけられた、所有印のようなキスマーク。

服の下に隠されたその痕を見るたびに、彼に抱え込まれ、

乱暴に吸い上げられたあの夜の熱が蘇って、身体の奥がじんわりと疼く。

けれど、あの日から一週間。

どんなに濃くつけられた痕も、時間とともに少しずつ薄れてきている。

この痕が完全に消えてしまったら、あの夜の出来事まで幻だったことになってしまう気がして──

ひよりは焦るように、スマホを手に取った。

『個人サロン・Lien』の予約ページ。

いつもなら指名できるはずの『一ノ瀬』の枠が、

なぜかすべてグレーアウトして選択できなくなっている。

(嘘……なんで? 担当、外れちゃったの……?)

もしかして、あの夜、自分から境界線を越えてしまったせいで、彼に引かれた…?

セラピストと客という一線を越えた客は、もう面倒を見切れないと切られてしまったのか。

心臓が嫌な音を立てて早鐘を打ち始めたその時。

手の中のスマホが、短く震えた。

メッセージの送り主は、一ノ瀬慶。

『今夜、俺の部屋に来て。

……客としてじゃなく、君自身として』

画面に表示された文字を見た瞬間、ひよりの呼吸がピタリと止まる。

以前、ひよりが体調を崩した時にも訪れた…彼のプライベートな部屋。

それは彼が『セラピスト』としての仮面を完全に捨てたという、明確な宣戦布告だった。

秘密の部屋へスキップ…♡

ここには書けない生々しい『本当の温度』の続きは…

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